AdMarkeTech. Monthly 2020年6月/June 2020
毎月のニュースをまとめて取り上げる【AdMarketech. Monthly】。
ブログで取り上げなかったものの、注目に値する記事をかんたんなコメント付きでご紹介します。
2020年6月は、BLM(Black Lives Matter)運動を発端として、デジタルビジネス側も大きなうねりの中に突入した感のある月でした。 AdMarkeTech Monthly では、その中でも特にプラットフォーム側の対応と影響についてご紹介します。
ソーシャルメディアが踊り場に
Facebookのヘイトスピーチに対する対応をめぐって、ソーシャルメディアが揺れています。
▶Updated: The brands boycotting Facebook and Zuckerberg's response
アメリカの大手企業が続々とソーシャルメディアへの広告出稿の差止めを表明。ユニリーバは2020年末まで Facebook と Twitter への広告をすべて停止すると発表し、既に100以上の企業がそれに倣ってボイコットするようです。この中にはノースフェイスやパタゴニアなど発言力のある企業も含まれています。
※Twitterは若干とばっちりを受けた感じがありますが…
この状況を鑑みて、Facebook はポリシーの更新を行ったほか、新規で Instagram 広告を開始する際は Facebook へのリンクが不要になるというアップデートも実施しています。※日本は対象外
▶Instagram Will Enable New Advertisers to Create Ads Without Linking to a Facebook Page | Social Media Today
Facebook と Instagram はずっと統合化の方向で進んでいましたし(統合して拡大路線にまみれるのが嫌で Instagram 創業者のケヴィンは離脱したはず)、プラットフォームの分割統治はトラッキングやターゲティング的にはデメリットしかないはず。
それでも背に腹はかえられない、 Facebookの置かれている苦しい現状が伺えます。
短期的にはダメージを受けるも確実に棋譜どおりに指すGoogle
一方の Google ですが、 eMarketer に「今年はたいへんそうだね」と指摘されているように、旅行業界の広告費がほぼ期待できなくなり、伸び盛りのEコマースでもコロナ禍で Amazon に思いっきり追い上げられるなどで苦戦が強いられていますが、すべき手は確実に打ってきています。
▶2020年はGoogle(アメリカ)の広告売上が初めて減少する年になる | AdMarkeTech.(アドマーケテック)
3−4月で大きく経営が傷んでいるニュースパブリッシャー向けの支援策は先月の Monthly でも言及しましたが、パブリッシャーが純広告(広告主との直取引)の取引を失っているこの機会にアドサーバー Google Ad Manager のシェア拡大を目論んでいるようです。
▶A look at how news publishers make money with Google Ad Manager
この春は全世界的にトラフィック(≒PV)が増えて広告在庫が増えた一方で、広告出稿自体は大幅に減りましたので、エコシステムの維持という大義名分のもと、パブリッシャー側を押さえていくという流れですね。プラットフォームとして正しい動きのように見えます。
また、パブリッシャーのみならず、広告主向けにもさまざまなアップデートを加えています。
▶Helping businesses with Google Ads
対象が中小企業や NPO ということもあり、メッセージ的にも公共性が高いものになっています。
・Ad Grantsのコミットを+2億ドル
・製品発表会は毎週のウェビナーに移行
・ローカルストア情報の開始
・ローカルサービス広告の開始
・スマートキャンペーン拡大と無料ピン開始
・SMB情報サイトと支援ツールの提供
中でも、数年がかりでもじわじわとしか進まなかったショッピングとマイビジネスのシームレスな接続が、ウイルスによって早回しで実現されたのには少し複雑な気持ちになりました。
あとは、2020年以降はこれまで隠れていた社会課題がますます噴出してくるはずなので、Ad Grants はコミット額の引き上げと同時に利用基準の緩和もお願いしたいところです。現状の基準だとコミットされた金額を使える NPO は限られているので、単なる印象操作にならないようにお願いしたいですね。
動画がますます上昇基調に。主戦場はリビングか
この春はテレビ経由の YouTube 視聴が大幅に伸びましたが、その流れで、Googleは新しいテレビ用ドングルを出すようです。
▶コネクテッドTVの未来にGoogleの居場所は残されているのか? 〜テレビ用新デバイスの登場から考える | AdMarkeTech.(アドマーケテック)
Google がリビングで存在感を発揮してきているのは事実である一方で、ここから市場を拡げていくためには OTT(Over The Top) で後塵を拝している Amazon/ROKU/Apple にどう伍していくかが課題です。
今後は YouTube を全面に押し出した Androidベースでのハードウェアの再構築がどこまで進むか、というところが焦点になると思います。
なお、IABが出している「2020 Digital Video Advertising Spend Report」でも、
”コネクテッドTV(CTV)は、広告業界が落ち込みから回復するための原動力になっており、COVID-19による影響はほとんどありませんでした”
と報告されています。
▶IAB U.S. 2020 Digital Video Advertising Spend Report: Putting COVID in Context
YouTubeのポリシー改定も含め、テレビ広告が完全にデジタルプラットフォームに乗ったときにどういうクリエイティブの変化があるのかも注目していきたいところです。
以上、今月の【AdMarkeTech. Monthly】でした!
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それでは、来月もお楽しみに!
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