AdMarkeTech. Monthly 2020年2月/February 2020
毎月のニュースをまとめて取り上げる【AdMarketech. Monthly】。
ブログで取り上げなかったものの、注目に値する記事をかんたんなコメント付きでご紹介します。
2020年2月は、新型ウィルスが世界を震撼させましたね。これから本格的なリセッションに入るかと思いますが、一般論として広告は変動費なので景気に連動しやすいと言われています。先行きはあまり明るいとは言えないかもしれません。
一方で、ここまでデジタルが人々の生活に浸透し、デジタルが広告の主役に躍り出た現在、過去の常識がどれだけ参考になるかは分かりません。自分自身で意思決定するためにも、情報への感度は高めておきたいところです!
リンク:5 takeaways for marketers from Google's Q4 2019 earnings - Search Engine Land
まずは Google(Alphabet) の第4四半期決算のまとめ記事から。
今回のハイライトを挙げるとすれば、「初めてのセグメント別」ではないかと思います。特に動画サイトの雄であるYouTubeは四半期で47億ドルの売上を上げており、改めて凄まじいドル箱と化しています。
それにしても、今回の決算を見て思い出すのは、2006年のYouTube買収時、16.5億ドルという価格に「狂気!」「一生取り返せない!」という批判が何年も続いたことです。本当に何年も。
それが今ではたった1ヶ月ほどの売上です。時代が恐ろしい速度で、完全に切り替わったんだなあと思います。
なお、YouTube を収益セグメントとして分けた一方で、これまでパブリッシャーとブラウザに分けていたTAC(トラフィック獲得コスト)は今回の決算から統合されています。確かに現在の状況ではブラウザは類推が容易で契約条件も筒抜けになってしまいますので、透明性が事業リスクにならないための配慮ではないかと思います。
リンク:Facebook Is Killing Off Its Web Supply In Audience Network – And Don’t Be Surprised If It All Shuts Down | AdExchanger
続いては、Facebookがオーディエンスネットワーク上のウェブ面の提供を停止し、アプリのみになったというニュースです。
折からのITPの影響に加え、Chromeのサードパーティクッキーの件もあり、さもありなんという展開ですね。なお、元々オーディエンスネットワークはアプリ面が大多数だったため、売上への影響は軽微とのことです。
リンク:Google Ads Developer Blog: Gmail on standard Shopping campaigns
ショッピング広告が 2020年3月から Gmail にも出ます。
ファインド広告(ディスカバリー広告)もそうですが、動画やメール、ディスカバーといった自社の大物プロパティを跨ぐキャンペーン仕様が標準になってくると、管理画面でプレースメントごとのパフォーマンスを確認させろという広告主からの圧力はますます高まってくると思います。自動入札が前提なので気持ちは分かりますが、だからといって選択肢以前に内訳がブラックボックス過ぎるのもどうかと。
リンク:存在感を増すピンタレスト(Pinterest)、ショッピング広告の新たな勢力に | AdMarkeTech.(アドマーケテック)
ピンタレスト(Pinterest)がいよいよ盤石になってきた感があるので、決算に合わせて記事を書きました。
Q4売上は前年比46%増の4億ドルでアナリスト予想を超え、2019年通年でも51%増の11億4000万ドルに達したとのこと。伸び方がえげつないです。
グローバルMAUも前年比26%増の3億3500万人に増加。北米だと8%増と微増ですが、グローバルがとにかくすごい。成長地域はいずれも RPU が低いのですが、今後の広告製品の充実によって単価が上がってくると今以上に上昇カーブを描く可能性があります。
決算説明でも、2018年にセルフサーブを始めてから広告製品が確実に伸びてきていることに言及し、CEOのベン・シルバーマン曰く
「広告が、Pinner(ピンするユーザー)の興味関心、プロジェクト、目的と関連性があることが大事だ」
とのことで、哲学と成長ドライバーが噛み合っていて、初期の AdWords のような期待感があります。
リンク:牧歌的 Cookie の終焉 | blog.jxck.io
最後は話題の 3rd Party Cookie について。大変示唆に富む記事でした…!
記事内では Google の提唱している Privacy Sandbox に触れられていますが、これは「共通仕様策定のためのインターネット的協働」と「仕様の胴元をめぐる政争」の2つが同居していると感じていまして、個人的には積極的にコメントしにくいなあと感じています。
こういうのは民間主導ではなくどこかで IAB のような第三者機関が示す共通仕様として舵取りする必要があるのでしょうが、当の IAB のボードがプラットフォーマーたちのロビー活動の中枢でもあり、一筋縄ではいかなそうです。こうやって世界は技術的にも分断していくのかなと思ったりもしています。
とはいえ、常にイノベーションは越境者がつくってきましたので、現状が新たなプレイヤーが生まれる土壌になっていくと信じて、引き続きアンテナを張っていきたいと思います。
以上、今月の【AdMarkeTech. Monthly】でした!
なお、投稿記事やニュースはFacebookページでも更新しています。よろしければご覧ください。
それでは、来月もお楽しみに^^
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