AdMarkeTech. Monthly 2019年2月/February 2019
毎月のニュースをまとめて取り上げる【AdMarketech. Monthly】。
ブログで取り上げなかった(単に筆力が足りなかった)ものの、注目に値する記事をかんたんなコメント付きでご紹介します。
今月も盛りだくさんです! 気になった方はリンク先もぜひご一読ください。
▶Digital Advertising Revenues Rise to $26.2 Billion in Q3 2018, Up 22% Year-Over-Year, According to IAB
IAB恒例の四半期レポート。2018年第3四半期は262億ドルに増加し、毎度「記録的な」伸びを示しています。完全にスイッチ入った感がありますね。
▶2018年 日本の広告費 - 電通
例年2月20日頃に出ますが、今年はいつもより遅く月末ギリギリのリリースでした。関係ないですが、なんでいまだにSSLじゃないんでしょうか…
▶Despite holiday gains, the future of voice is uncertain – Econsultancy
音声入力は劇的に伸びているけどそれがコマースに波及していないのでは、というEconsultancyの記事。それはそうじゃないかなと思いました。
音声は比較検討のプロセスをすっ飛ばしますので、今のところ買い物という利用シーンに限定すると、普通に不便なのではないかと思います。ハンズフリーは、徐々に浸透することで利用層やクエリそのもの、用途に大きな変化が出てくる類のものなので、インプットの方法がなんであれ、出力が限られている以上は中で動くアプリの一等地を巡る争いなのかなと考えています。構図としては20年前のポータル戦争に近い気がします。
▶Not just for auto anymore: Google tests giant image search ads in new verticals. - Search Engine Land
デカい画像がドーンと出るGoogleの広告がテストされているらしいという記事。以前の自動車業界専用の広告と似たフォーマットです。この記事でテストしている広告主はNikeなので、枠の考え方としてはショッピング広告と競合しますね。
想像するに、ショッピング広告がコマーシャルクエリを判別して配信対象としているのと同じように、ブランドクエリでメーカー(ブランド)が配信していればそれを優先する、みたいな感じで出し分けたりするのかもしれません。もしそうならメーカー側はデータフィードを変えずに済むので楽かもなと思いました。
ちなみにきっかけになった元ツイートはこちらです↓
Saw this crazy-immersive ad yesterday from Nike. 6 images that I could swipe through with the ability to launch a full page with those images. Not sure I've seen that before. @GinnyMarvin Have you seen this? pic.twitter.com/Aa9P8ZLZHA
— Glenn Gabe (@glenngabe) 2019年2月22日
▶Video comes to Google responsive display ads - Search Engine Land
Google広告の全アカウントでレスポンシブディスプレイ広告に動画アセットが追加可能になりました。動画キャンペーンでTrueView動画広告を出しているところは、YouTubeと広告アカウントが連携できているはずなので、そのままかんたんに追加できます。
ちなみに、今回の更新に合わせて、「アセットの組み合わせレポート」と「広告の強度スコアカード」も同時に公開されています。個人的には、ここまでクリエイティブを自動化に幅寄せされると、強力なコピーでキャンペーンを推進したい場合に何だか使いにくくて、「自由すぎて自由度がない!」なんて天の邪鬼な考えになったりします。レスポンシブ検索広告であれば、フォーマットがまったく同じな拡張テキスト広告で固定に寄せられますし。
▶App campaigns make their landing: introducing a simpler name for Google’s app ad solution
こちらもGoogle広告の更新です。UAC(Universal App Campaigns)が名称変更して App Campaigns へ変わりました。日本語でも既に「アプリ キャンペーン」へと変更されています。
Googleはここ2−3年、こっそりとかつ確実にこれまでのアカウント内にある増改築の履歴を整理統合してきましたが、新管理画面への移行によっていよいよ整ってきた感じです。
App campaigns will join Search, Display, Video, Shopping and Smart as the top-level campaign names available in Google Ads.
という一文が、アプリ広告が新参者扱いからいよいよ主力へとのし上がってきた感じを醸し出していますね。
▶2019 ‘IAB 250’ Report Uncovers Most Important Disruptor Consumer Brands in U.S. Economy
IABが発表している "消費行動を変えている(あるいは消費行動の変化を象徴している)ブランドリスト" である「IAB 250」の2019年版が2月10日に公開されています。
ここでは、「Direct Brands」を、消費者と直接つながり、かつサプライチェーンの捉え方・構築の仕方が従来とは異なるブランドのことを指します。少ない資本からでも一気に進められる柔軟さ、ダイナミクスが市場に影響しはじめた2010年を境として、それ以前/それ以後と分けて、以後に活躍しているブランドが「Direct Brands」になります。
「Direct Brands」の特徴は以下です。
・消費者とのつながりとデータに集中している
・Webネイティブである
・社会的に消費者と寄り添っている
・”狂ったように”消費体験を重要視している
・コンテンツで差別化している
・コンテンツの定義は以前より大雑把
・ストーリーの中心にいることが使命だと考えている
彼らの多くは、ブランドストーリーにふさわしい顧客体験を生み出すためにウェブだけに閉じず、成長に応じて"実際の"体験をつくりだすため実店舗への拡張を進めています。この動きはコミュニティ主導のブランドにとって極めて自然で、旧来型の小売が沈みつつある中で、業界全体にとって明るい兆しであるという見解です。
また、多様性という意味でも影響は大きく、Direct Brandsの経営者のうち約4分の1は女性とのデータも。これは女性のリーダーが僅か5%に留まるFortune500とは対照的な結果です。地理的にも多様性があり、デジタル経済の中心であるニューヨークやカリフォルニア以外に拠点を置くブランドが全体の4割程度にのぼっているとのこと。
アパレルを中心にコマースの地殻変動が起こっていますが、それを言語化する象徴的なリストが、この「IAB 250」なのかなと思いました。(アメリカ限定ではありますが)
▶How to Protect Your Brand on Amazon
そんな感じで「Direct Brands」の動きを見ていくと、ポイントになるのはやはり巨大プラットフォームの動きです。
この記事は、Amazonに出稿する際のブランド保護についての方法を解説したものですが、対応を間違えると、小売はブランドにとって深刻な競合になりうるケースがあることを示唆しています。Amazonみたいな場所はとにかく人が集まっていますのでいろんなことが起こります。体験を重視する「Direct Brands」にとっては、ブランド毀損がもっとも起きやすい場所であるとも言えるのかもしれません。まあ、「How to Protect Your Brand on Amazon」で検索すると同タイトルの記事がたくさん出てきますので、今に始まったことではないのでしょうが…
そう考えていくと、ブランド側の変化は単なる流行ではなく、大手プラットフォームが覇権を握っている環境下で、ブランド自身が生き残るための切実な方法を模索してきた結果なのだなあと理解できます。
▶ITP2.1の影響と対策方法、JavaScript生成cookie7日問題 | marketechlabo
大手プラットフォームの影響といえばこちらも。ITP2.1(https://webkit.org/blog/8613/intelligent-tracking-prevention-2-1/)が発表された日は戦々恐々としていましたが、識者が丁寧な解説記事を出してくれました。
自社サイトのトラッキングは巨大プラットフォームがそれぞれ対応するでしょうから、何だか陰謀論的には巨人同士の壮大なマッチポンプにさえ見えてしまいますね。いずれにせよ SaaS を運営している企業の多くは検証あるいは改修が必要になると思います。
はたして世界は便利になっているんでしょうか。
▶PPC Client Account Revenue Pressures | PPC Hero
ほとんどの広告運用者に待ち受ける実務的かつ精神的な壁である「売上(成果)へのプレッシャー」について書かれた、たいへんエモい記事です。
何だか読みながらじんわりきてしまいました...(特に最後のパラグラフ)。
こういう聡明な方は、適切なタイミングで適切に壁を乗り越えていくんでしょう。
以上、今月の【AdMarkeTech. Monthly】でした!
なお、毎週のニュースは【AdMarkeTech. Weekly】としてFacebookページにアップしています。よろしければご覧ください。
それでは、来月もお楽しみに^^
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