2009年来の不況はまだ完全に回復したとはいえず、特に日本は震災や円高でえらいことになっていますので、まっさきに削られやすい企業の広告宣伝費や販売促進費も、効率がよく結果が厳密に測れる(と言われている)ものに流れていく傾向にあり、その一つがインターネット広告、その中でもラストクリックで結果の出しやすい検索連動型広告だと思います。
一方、グローバルエージェンシーであるNurunのディレクターであるAmy Manus氏は「Turning Attribution on Its Side」という記事の中で、以下のようなことを言っています。
“For the past 10 years, looking at the ‘last click’ model may have worked; today, it paints an inaccurate picture given the decrease in clicks, the increase in retargeting and paid search efforts, the impact of social media, and the need to look at a more integrated marketing picture.”
これまでの10年はいわゆる”ラストクリック”モデルで伸びてきました。不正確広告モデルは減少し、リターゲティングや検索連動型広告、がその成長を担保してきました。しかし今日では、我々広告会社はそれぞれ個別の手法を計測するのではなく、それぞれのマーケティング手法を統合的に見る必要に迫られているのではないでしょうか。
この、「それぞれのマーケティング手法を統合的に見る」ことを可能にするのがアトリビューションであり、このアトリビューションを遂行することが結果的に広告代理店が広告主と良好な関係を維持するために必要である!と強く主張しているのが、北米を中心にアトリビューション分析を提供するC3MetricsのCEO、Mark Hughes氏です。
氏は、「Agencies + Attribution = Client Retention」という記事の中で、
1. マーケティング費用の定量化 (It quantifies marketing spend.)
2. 価値の定量化 (It quantifies value.)
3. ナレッジの提供 (It adds knowledge, and knowledge is still king.)
という3つのキーポイントを上げた上で、以下のように言っています。(※)
「ラストクリックやラストビューだけでの指標はSEM系の代理店にとっては優位なレポートになりやすいですが、そのレポートだけでは表面的な指標に過ぎないと多くの広告主が気づき出している昨今では、四半期ごとのレビューで、「最近何してくれた?」「これから何をしてくれる?」と広告主に問われることは避けられません。」
「アトリビューションはクリックやビューというこれまでの広告の評価指標を引き上げ、どの広告やメディアがどれだけマーケティング全体のパフォーマンスへ貢献しているのかを浮かび上がらせ、それぞれの価値を定量化し、どこにどれだけの予算を投下すれば同じ予算で広告主の売上を最大化できうるかを判断するための視点を提供することになります。それは提案とレポートの透明性を担保することにもなり、顧客からメディアを扱うだけの表面的な付き合いではなく、真のナレッジを提供するパートナーだと感じてもらうことにつながると思います。」
※ だいぶ超訳してまとめています。。。
もちろん、Mark Hughes氏がアトリビューション事業者の社長である以上、広告代理店をけしかけてアトリビューションをアピールしているだけではないか?と穿った読み方を避けることは難しいです。
が、少なくとも、ラストクリックのみの趨勢から卒業し、アトリビューションマネジメントによって様々な媒体を扱い、テクノロジーによって自動化し分析し、人間の叡智であるクリエイティブとキャンペーン構築を今まで以上のスピードを回していき顧客の売上を最大化するという仕事は、コンサルタントでもテクノロジーベンダーでもなく、広告代理店が最も得意とすべき領域で、メインプレイヤーになるべき仕事だということに疑いを挟む人は少ないと思います。
アトリビューションというキーワードをどのように広告代理店が捉えていくかは分かりませんが、バズワードとして消費していくのか、変化の旗手と浸透させていくのか、いずれにせよ今後を占う重要なキーワードの一つであることは間違いないのではないでしょうか。
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