アトリビューションの評価モデルの具体的な考え方については、リクルートの小川卓さんのブログ:「アトリビューション分析」連載 その5:アトリビューションの評価モデルを考える - リアルアクセス解析が詳しいので、まずはそちらを先にご一読いただくのがよろしいかと思います。現時点でもっとも分かりやすくまとまったアトリビューションモデルの記事です。
という前提で、ここでは、adotasに載っていた「いろんなアトリビューション分析をやってみようぜ!」という記事を参考にしながら、アトリビューションの5つのモデルをみていきたいと思います。
アトリビューションの評価方法に決まった型はなく、あくまで色んなモデルがあることを知ることが分析の出発点だと思います。
(参考記事)
Tasting the Various Flavors of Attribution Analysis
http://www.adotas.com/2011/06/tasting-the-various-flavors-of-attribution-analysis/
これはその名のとおり、最後にユーザーをひっぱってきたクリックが一番エライ!というモデルです。リスティング広告のレポートはほぼこれだと思って間違いないです。
このモデルの課題は、よく言われるとおり、最後のクリックだけ100%の評価をして、他はなかったことにするところです。サッカーでいえば最後にボールに触れた人、つまりシュートを決めた人だけが評価されることになるので、一緒にがんばっている他のメンバーは納得がいきません。企業のキャンペーンがたくさんのチャネルを有機的に使うチームワークで成り立っているとすれば、このモデルだけだとチーム内の関係がうまくいかず、ゲームに勝つのは難しくなります。
近年のアトリビューションの盛り上がりは、ツールの進化によってだいぶ他のメンバーの貢献度が見えるようになってきたことが背景としてあると思います。
ラストクリック100%だとフェアじゃないよねということで、アトリビューション分析の中で比較的採用されているモデルが均等配分モデルです。だれひとり欠けても達成はできなかったはずなので、それぞれのメンバーに同じ重み付けを割り振りましょうという考え方です。
この図の場合だとゴールにいたるまで4つのメンバーを3回のパスで経由していますので、それぞれに25%を割り振っています。シンプルでとっても使いやすいのですが、ラストクリックの評価が低いんじゃない?とか、ちょっと正確性に欠けるんじゃない?という議論はあります。
均等配分モデルだと均等なのがなんかフェアじゃないよねということで、あらかじめそれぞれのメンバーの役割に応じて異なる重み付けをしておくのがプリセットモデルです。知ってもらうのが大事なキャンペーンであれば最初のほうに、買ってもらうのが大事であれば最後のほうに重み付けをしよう、といった感じで決めていきます。そう、「決め」の問題です。キャンペーンの目的と使っているメンバーの特性に合わせて決めていくので、アカウントプランナーとアナリストの連携が大事かもしれません。
この図であれば、「あとは触るだけ」というラストパスを送るファンタジスタに50%をつけて、そこにしっかり走りこんでいたストライカーには30%、その流れにつないだボランチとゴールキーパーにそれぞれ10%をつけています。もちろん、たとえばの話です。
ただ、これはそれぞれのメンバーがパスばっかりして、ストライカーはシュートしかしないという場合に使えるモデルで、現実はバックパスしたり、相手にボールを奪われたり、ストライカーがポストプレイをしたりと、いろんな動きがあると思うので、割とゴールまでの流れが決まっている場合に使えそうです。
これまでの3つのモデルよりもがっつり分析したい場合は、ファネルモデルになります。これはゴールに至ったすべての要素を分析対象として入れてしまうやり方になります。ろうとの図でよく示されるパーチェスファネルの考え方です。ラストクリックまでのディスプレイ広告や検索(←ラストクリックばかりとは限らない)、ソーシャルメディアなどをぜんぶ分母に入れて解析します。
ただ、このモデルはゴールまでのパスに出てくるメンバーが対象になるので、たとえば、一旦ボランチに預けてストライカーに縦パスで当てて、飛び出してきた2列目にポストプレイ、みたいなときに、スペースを作るために上下運動を繰り返したサイドバックやポストプレイとは別方向に走りこんでマークを分散させたミッドフィルダーは評価されません。
また、確かにゴールに至るきっかけはボランチからの縦パスなんだけど、このボランチは常にボールを経由するので相手に狙われていて何度も自陣でボールを奪われて危ない目にあっている、といった場合でも、ボランチは評価されてしまい、多くの予算が割り振られてしまったりするので、気をつけなければいけません。
最後に、ファネルモデル以上にがっつり分析するのが、この全部のせモデルです。全部のせモデルなんて元記事には書いてないんですが(Dynamic Fractional Attribution なので、動的分配モデルかな?)、インプレッションも含めて全部分母に含めるので、まあ全部のせです。データの量は膨大になり分析も格段に大変になりますが、もっとも正確なモデルといえます。
このモデルはビュースルーコンバージョンがとれることを前提にしているので、第三者配信だったり、第三者配信と連携しているアクセス解析ツールだったりを駆使しないと測ることができません。また、ある程度規模があるキャンペーンで色んなところにたくさん配信していないと分析コストの割に発見が少ないなんてことにもなりかねないので、現時点では、継続的なキャンペーンで、かつ量もそれなりに大きい場合にトライしてみる価値があるのではないかと個人的に思います。
ただ、このモデルでようやくフリーランニングでマークを外す動きをしていた他のメンバーや、とても響く声でコーチングをしていたゴールキーパーも評価することができるので、チームワークよくゲームを進めることができるようになります。
冒頭のとおり、アトリビューションの評価方法に決まった型はなく、あくまで色んなモデルがあることを知ることが分析の出発点だと思います。複数のモデルを併用したときの差から発見があるかもしれませんし、計測の仕方はキャンペーンの目的によって違ってくるのは当たり前のことなので、試行錯誤を繰り返すことが求められます。がんばりましょうー!
という前提で、ここでは、adotasに載っていた「いろんなアトリビューション分析をやってみようぜ!」という記事を参考にしながら、アトリビューションの5つのモデルをみていきたいと思います。
アトリビューションの評価方法に決まった型はなく、あくまで色んなモデルがあることを知ることが分析の出発点だと思います。
(参考記事)
Tasting the Various Flavors of Attribution Analysis
http://www.adotas.com/2011/06/tasting-the-various-flavors-of-attribution-analysis/
1. ラストクリックモデル (Last-Click Attribution)
これはその名のとおり、最後にユーザーをひっぱってきたクリックが一番エライ!というモデルです。リスティング広告のレポートはほぼこれだと思って間違いないです。
このモデルの課題は、よく言われるとおり、最後のクリックだけ100%の評価をして、他はなかったことにするところです。サッカーでいえば最後にボールに触れた人、つまりシュートを決めた人だけが評価されることになるので、一緒にがんばっている他のメンバーは納得がいきません。企業のキャンペーンがたくさんのチャネルを有機的に使うチームワークで成り立っているとすれば、このモデルだけだとチーム内の関係がうまくいかず、ゲームに勝つのは難しくなります。
近年のアトリビューションの盛り上がりは、ツールの進化によってだいぶ他のメンバーの貢献度が見えるようになってきたことが背景としてあると思います。
2. 均等配分モデル (Even Attribution)
ラストクリック100%だとフェアじゃないよねということで、アトリビューション分析の中で比較的採用されているモデルが均等配分モデルです。だれひとり欠けても達成はできなかったはずなので、それぞれのメンバーに同じ重み付けを割り振りましょうという考え方です。
この図の場合だとゴールにいたるまで4つのメンバーを3回のパスで経由していますので、それぞれに25%を割り振っています。シンプルでとっても使いやすいのですが、ラストクリックの評価が低いんじゃない?とか、ちょっと正確性に欠けるんじゃない?という議論はあります。
3. プリセットモデル (Predetermined Attribution Models)
均等配分モデルだと均等なのがなんかフェアじゃないよねということで、あらかじめそれぞれのメンバーの役割に応じて異なる重み付けをしておくのがプリセットモデルです。知ってもらうのが大事なキャンペーンであれば最初のほうに、買ってもらうのが大事であれば最後のほうに重み付けをしよう、といった感じで決めていきます。そう、「決め」の問題です。キャンペーンの目的と使っているメンバーの特性に合わせて決めていくので、アカウントプランナーとアナリストの連携が大事かもしれません。
この図であれば、「あとは触るだけ」というラストパスを送るファンタジスタに50%をつけて、そこにしっかり走りこんでいたストライカーには30%、その流れにつないだボランチとゴールキーパーにそれぞれ10%をつけています。もちろん、たとえばの話です。
ただ、これはそれぞれのメンバーがパスばっかりして、ストライカーはシュートしかしないという場合に使えるモデルで、現実はバックパスしたり、相手にボールを奪われたり、ストライカーがポストプレイをしたりと、いろんな動きがあると思うので、割とゴールまでの流れが決まっている場合に使えそうです。
4. ファネルモデル (Full-Funnel Attribution)
これまでの3つのモデルよりもがっつり分析したい場合は、ファネルモデルになります。これはゴールに至ったすべての要素を分析対象として入れてしまうやり方になります。ろうとの図でよく示されるパーチェスファネルの考え方です。ラストクリックまでのディスプレイ広告や検索(←ラストクリックばかりとは限らない)、ソーシャルメディアなどをぜんぶ分母に入れて解析します。
ただ、このモデルはゴールまでのパスに出てくるメンバーが対象になるので、たとえば、一旦ボランチに預けてストライカーに縦パスで当てて、飛び出してきた2列目にポストプレイ、みたいなときに、スペースを作るために上下運動を繰り返したサイドバックやポストプレイとは別方向に走りこんでマークを分散させたミッドフィルダーは評価されません。
また、確かにゴールに至るきっかけはボランチからの縦パスなんだけど、このボランチは常にボールを経由するので相手に狙われていて何度も自陣でボールを奪われて危ない目にあっている、といった場合でも、ボランチは評価されてしまい、多くの予算が割り振られてしまったりするので、気をつけなければいけません。
5. 全部のせモデル (Fractional Attribution)
最後に、ファネルモデル以上にがっつり分析するのが、この全部のせモデルです。全部のせモデルなんて元記事には書いてないんですが(Dynamic Fractional Attribution なので、動的分配モデルかな?)、インプレッションも含めて全部分母に含めるので、まあ全部のせです。データの量は膨大になり分析も格段に大変になりますが、もっとも正確なモデルといえます。
このモデルはビュースルーコンバージョンがとれることを前提にしているので、第三者配信だったり、第三者配信と連携しているアクセス解析ツールだったりを駆使しないと測ることができません。また、ある程度規模があるキャンペーンで色んなところにたくさん配信していないと分析コストの割に発見が少ないなんてことにもなりかねないので、現時点では、継続的なキャンペーンで、かつ量もそれなりに大きい場合にトライしてみる価値があるのではないかと個人的に思います。
ただ、このモデルでようやくフリーランニングでマークを外す動きをしていた他のメンバーや、とても響く声でコーチングをしていたゴールキーパーも評価することができるので、チームワークよくゲームを進めることができるようになります。
まとめ
冒頭のとおり、アトリビューションの評価方法に決まった型はなく、あくまで色んなモデルがあることを知ることが分析の出発点だと思います。複数のモデルを併用したときの差から発見があるかもしれませんし、計測の仕方はキャンペーンの目的によって違ってくるのは当たり前のことなので、試行錯誤を繰り返すことが求められます。がんばりましょうー!
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