入札自動化のチェックリスト
Google が以前から定期的に出しているベスト・プラクティスシリーズに、入札の自動化についてのチェックリストが加わりました。完全版とダイジェスト版があり、それぞれ以下のURLからダウンロードできます。
リンク:Inside AdWords: Unlock the Power of Auction-Time Bidding in AdWords
完全版:services.google.com/fh/files/blogs/google-automated-bidding-best-practices.pdf
ダイジェスト版:services.google.com/fh/files/blogs/google-automated-bidding-checklist.pdf
チェックリストは10項目と非常にシンプルですが、入札の自動化の基本から解説、導入までのステップなどが丁寧に書かれており、非常に親切なドキュメントになっています。
特に考え方から導入までに多くの項目が割かれていることから、入札の自動化における勘違いや不適切な運用が多いことが推察されますね。
以下、ダイジェスト版を抄訳してみましたのでご参考下さい。
すべてのオークションごとへ入札
〜アドワーズの自動入札を導入し、活かしていくためのチェックリスト〜(1)ユーザーの文脈に合わせて入札すること。つまり、可能な限りオークションが発生するごとに入札するということ。
(2)自動化の本当の価値を理解すること。それによって時間を節約する。
(3)ビジネスの目的に沿った入札戦略を選択すること。
(4)正確なコンバージョンデータを基に入札を自動化すること。
(5)パフォーマンスのあるキーワード群を体系化し、入札ポートフォリオを設計すること。
(6)テストしやすい大きなキャンペーンを選択すること。
(7)これまでの実績(CPA/ROAS)に沿った設定でスタートすること。
(8)テストはシンプルに。一貫した1つのKPIをテストすること。
(9)頻繁にテストや設定を変えないこと。
(10)実績が極端に変化した際は技術的な問題や実装の問題の可能性が大きいので、可能な限り迅速に対応すること。
自動入札について考える
余談ですが、今回の記事では「自動入札」ではなく「入札の自動化」と表記しました。「自動入札」は、一般的にサードパーティのトラッキングシステムから判断したデータに沿ってプラットフォーム側に上限入札単価の変更を自動的に命令する仕組みを指すことが多いですが、このベストプラクティスで表現されている「Automated biddng(Auction-based bidding)」言葉は似ていますがニュアンスが微妙に異なるのではないかと考えています。わざわざ、「オークションごとの入札変更」と表記していることからも、単に結果だけを見て上限入札単価を機械的に変える一般の「自動入札」とは意味が異なることを示唆しているように思います。オークションごとに判断できる様々なシグナル(デバイス、時間、場所、履歴、ユーザー属性等)に沿ってプラットフォーマー側で実入札を判断する仕組みは、オークションごとの判断である以上サードパーティでは実現不可能なことです。
チェックリスト(完全版)にある図を拝借すると、以下のようになります。正確で充分な量のデータがあるキャンペーンで一定期間 KPI に合わせて実施できれば、単純に CPA に合わせて上限入札単価を上げ下げする運用より成果が出るのは当然のようにも思えます。
一方で、この考え方は精度や頻度は圧倒的に高い反面、プラットフォーマーに異存するというリスクもあります。欧米のような Google が独占的な市場では判断を待たないかもしれませんが、沢山のチャネルを活用している大規模広告主にとっては経営判断が必要な部分でもあります。どちらがいいというものではありませんが、自動化をはじめとして、テクノロジーに寄り添いながら運用効率を高めていくことが今後の運用者には必須の能力になっていくでしょう。
マニュアルの入札業務が減っていく反面、入札ポートフォリオを設計する能力(≒アカウント構築能力)はますます価値が高まっていくと考えられます。
その他のベストプラクティス
なお、Google はこれまでも幾つかのベストプラクティスを発表しています。こちらのURLに一覧になっていますのでご参照下さい。リンク:Google Best Practices - AdWords Help
AdWords以外のチェックリストは、以前の「リスティング広告(特にAdWords)チェックリストまとめ」もご参照下さい!
コメント