AdWordsの機能強化
以前からアナウンスされていた AdWords のメジャーアップデートが 2014年4月22日(日本時間だと4月23日未明)に発表されました。
Inside AdWords: Sharing the latest AdWords innovations
http://adwords.blogspot.jp/2014/04/sharing-latest-adwords-innovations.html
YouTubeで発表の様子を見ることができます
アナウンスの内容は、即座にSEM系のメディアでカバレッジされました。以下のSearch Engine Land の記事が簡潔にまとまっています。
参考:Google's "Step Inside AdWords" News: Features For App Ads, More UI Tools, No Wild Surprises
上記の記事は、以下の滝井さんのブログでも詳細に解説されています。
参考:Googleアドワーズ大型(?)補強の新機能10個発表。“Step Inside AdWords” | 滝井秀典ブログ
これらの記事を拝見すると、事前の騒がれていた憶測よりはやや落ち着いた内容で、エンハンストキャンペーンの時のような Mandatory(強制的)な変更ではなく、ほぼすべての機能がオプションとして追加利用するかたちになっています。
アプリ広告(App Ads)とマルチスクリーンの強化
今回の変更は大きく分けて「マルチスクリーン(特にモバイル)対応の強化」と、「管理機能の強化」の2つに分けて紹介されました。最初に発表されたのは、アプリ広告(App Ads)です。
Google のアプリ向け広告はもともと AdMob などがありますが、今回の機能強化では、大きく以下の4つが発表されています。
ターゲティングの強化
ユーザーが既に使っている/インストールしているアプリの種類に応じてターゲティングしたり、アプリの利用頻度やダウンロード履歴も考慮するようになるようです。
エンゲージメントの強化
80%のアプリは一度使われた後削除されてしまうそうで、既にインストールしているアプリの利用頻度を上げてもらうためのプッシュ型アプローチが広告でできるようになります。発表ではこれを「アプリのディープリンク(app deep linking)」という表現で伝えていました。
アプリ広告の表示増加
アプリのプッシュ型アプローチは YouTube(モバイル)などでも展開されるので、表示回数は増えるだろうとのことです。
アプリ計測の強化
アプリのコンバージョントラッキングが強化され、インストールされてからの利用有無や、アプリ内購入なども計測できるようになるとのこと。
以前は、アプリの Apple、ブラウザの Google などと言われた時期もありましたが、今回の発表で、アプリも含めて、マルチスクリーンで必要なものはすべてカバーしにいくという気概が感じられます。ただ、エンゲージメントの強化はリターゲティング広告でもよく議論されるような気持ち悪さを感じる利用者も出てくるかもしれません。
アプリ広告と併せて発表されたのが、推定合計コンバージョンの強化です。これには詳細がありませんでしたが、クロスデバイス集計の精度や観測範囲を強化することで、マルチスクリーン(特にモバイル)への対応を強く打ち出していくという意思表明だと思います。エンハンストキャンペーンの思想をさらに裏付ける機能改善ですね。
Google の事情からしても、トラフィックのモバイル比率が上がり、平均の RPM(CPC)が落ちてきているので、広告出稿側と実際のユーザー利用、広告枠の需給バランス是正のためにも広告主のモバイル参加を強く促したい意向もあると考えられます。
レポートを含めた管理機能の強化
もう一つは、レポートを含めた管理面の強化です。バルク設定、自動入札、レポート強化、ドラフトモードなどが発表されており、特にバルク設定とレポート強化はAdWords 依存度の高い欧米の大部分の広告主には歓迎される機能だと思います。レポーティングの強化
レポートのビジュアライゼーションツールが実装されます。ドラッグアンドドロップでレポートを柔軟に作れるようになるようです。アドワーズ上でエクセルが使えるようなイメージかと思います。ダウンロードしたCSVをエクセル上で加工するのではなく、管理画面上で完結させてしまおうというアプローチですね。
バルク編集機能の強化
これまでも共有ライブラリの機能がありましたが、AdWords Editor のように多くの一括編集が管理画面上で行うことができるようになるようです。
自動入札ツール
これまでもターゲットCPAなどの自動入札モードはありましたが、コンバージョンの最大化やROASの最大化を目的とした自動入札機能が追加になります。推定合計コンバージョンの強化とも連動する機能ですね。
ドラフトモード
これまでのキャンペーンエクスペリメント(ACE:テスト機能)を改変して、「ドラフトモード」になるようです。「Lab(実験室)」という伝え方をしているように、ある変更によってどのように実績が変わるのか、仮説検証をして判断できるようにするとのこと。
これらの一連の変更は、今回の発表では「Enterprise-Class」という形容がされています。
この記事では、
Remember: Google Is Your Friend (Unless You’re Kenshoo Or Marin)
Googleはあなたの友人だ(あなたがKenshooかMarinじゃなければね)
とあるように、わざわざ「Enterprise-Class」と銘打つあたりが、他のプラットフォームやサードパーティツールにどう聞こえるのか、興味深いところではありますね。
今回発表のあったこれらの変更は、2014年4月から数ヶ月間の間に実装されるそうです。引き続き続報があれば取り上げていきたいと思います!
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