一人だからこそ、自分で考えなければ進めない − 株式会社LIG 小林享平氏 #State-of-AdOps Vol.9


「State of AdOps」は、現在急速に伸びている運用型広告の成長を支え、実際の現場で価値をつくりだしている広告運用(AdOps)のスペシャリストたちに焦点を当てるインタビューシリーズです。広告運用の最前線にいる方々が感じていることを語って頂くことで、運用型広告の輪郭を少しでも捉えることができればと考えています。

※過去の記事はこちらから。

第9回は、『リスティング広告担当者がチェックしている運用に役立つサイト10選』 という記事でadmarketechをご紹介頂いたことがきっかけになり、株式会社LIG(リグ)でリスティング広告を担当していらっしゃる小林享平(きょーへい)さんにインタビューさせていただくことになりました。


ウェブ制作会社でありながら自社サイトのメディア化に成功され、エッジの効いた情報発信をし続けているLIG。ウェブサイトをつくる制作会社の中で、集客を担うリスティング広告を担当することの醍醐味や、LIGのリスティング広告が有名になった「LIGLIS」の裏側など、忌憚のないお話をお聞きしました。


# インタビューは 2013年12月某日に行われました。



LIGLISが想定外にバズりました(笑)


きょーへいさんが現在のお仕事に就かれるまでの経緯と、具体的な業務内容を教えて下さい。

LIGの小林享平(きょーへい)と申します。LIGには2012年の新卒で入社しています。大学4年生のころは普通に就職活動をしていたのですがなかなかうまくいかなくて、卒業後に人材紹介会社の第二新卒インターンのプログラムに参加して、そこでLIGを紹介してもらったのが最初のきっかけです。

当時のLIGは社員が7−8人で今よりだいぶこじんまりとした会社でした。インターンをはじめてから半年後に正社員に登用してもらったのですが、ちょうどその頃に「リスティング手伝ってくれない?」と当時リスティング担当だったジェイに声を掛けられてリスティングを手伝うようになりました。その後、ジェイが転職することになり、そのまま私が引き継いで今に至ります。



リスティングを手伝うようになったのはLIGLISをリリースした頃ですか?

リリースの数ヶ月前から手伝っていました。LIGLISを発表する前まではそんなにたくさんお仕事があったわけではなかったので、ジェイがディレクションも運用もほぼ一人で回していました。



ただ、LIGLISがバズってしまって(笑)、非常にたくさんのお問い合わせをいただくようになりました。ジェイ一人では回らないので、この時期から私も一つのアカウントを担当する本格的な運用を手伝うようになりました。とは言っても二人だけだったので、当時はせっかくお問い合わせ頂いてもお断りするケースが多かったのが申し訳ないと思っています。

ジェイから業務を引き継いでからは基本的に私が一人で担当しています。



誰に向けた広告なのかを意識しています。


リスティング広告は最初どのように勉強されましたか?

どんな仕事でも体系的な部分と実務的な部分とがあると思いますが、体系的な部分はリスティング広告がどういうもので、仕組みやお金の流れなど、基本的なところをOJTを通じて教わりました。

OJT以外で一番助かったのは書籍です。振り返ってみると、初心者にとっては細かいテクニックよりまず全体を網羅した情報が役に立つのではないかと思います。書籍は必要な情報がパッケージになっているので、リスティング関連の書籍を何冊か読むことからはじめました。

いくつか読んだ中でも、SEM-LABOの阿部さんが書かれた本『リスティング広告 成功の法則』は特にお世話になりましたね。(注:現在は最新版『新版 リスティング広告 成功の法則 』が出版されています)

実務面では、とにかく管理画面に慣れることでした。運用業務を細かい作業に切り分けて、入札単価の調整、マッチタイプの追加、予算管理など、一つ一つ確実にこなせるようにしていきました。

現在は、先日記事にもさせていただいたブログやウェブサイトを中心に日々情報収集しています。




1、admarketech(アドマーケテック)
2、MarkeZine(マーケジン)
3、Web担当者Forum
4、SEM-LABO
5、Google AdWords Lab(グーグル アドワーズ ラボ)
6、listhing labs(リスティング ラボ)
7、Inside Adwords Japan
8、Yahoo!プロモーション広告 公式ラーニングポータル
9、でぶててWEB録
10、日刊リス男TIMES~リスティング広告news~

それ以外でも参考にしているサイトはたくさんあります。挙げるとキリがないのですが、例えば SEM HACKsSEMカフェ なども参考にさせていただいています。SEMカフェは Facebookグループ も活発なのでとても勉強になりますね。




リスティング広告の運用で気を付けていることはありますか?

この広告は誰に向けたものなのか?というのは意識するようにしています。キーワードをたくさん並べればいいというわけではなくて、この企業の想定する顧客はどういった人なのか、俗にいうペルソナのようなものを想定して、この情報を探しているときにこの広告を見たらどう思うだろうかと考えながら作るようにしています。

他の人はどうか分かりませんが、リスティング広告はある程度一人でできるようになると、急に辛い時期がくるような気がします。単純作業が業務の大半を占めていたり、膨大なエクセルやキーワードと格闘する毎日なので、精神的に参ってくることがあるんです。

ただ、そこから一歩踏み込んで、お客様のお客様、つまりユーザーが何を考えてその検索クエリを入力しているのかを想像したり、続々と出てくる機能やツールを駆使して効果が上げられないかを考えていくと、普段の作業への取り組みも変わってきます。自分の中に引き出しを増やしていく感覚です。



一人でやっているからこそ、自分で考えないと進まない。


普段の一日のお仕事の流れを教えて下さい。複数名いると分業ができると思いますが、お一人の場合気を付けていることなどがあれば。

朝出社したら運用しているアカウント全体をチェックします。レポートは週次が多いのですが、週に1回だけの作業だと進捗を把握できなくなるので、日別レポートとして午前中に必要項目を埋めておくようにしています。

あとは、テストや変更後の実績の確認ですね。広告文のABテストをしていることが多いので、その結果を確認したり、十分な量があれば分析結果を出したりします。あとは検索クエリレポートを見て、追加キーワードや除外キーワードを作成します。

情報収集は定型業務が終わったお昼にすることが多いです。

気を付けていることは、効率化でしょうか。広告代理店さんのようにたくさんのアカウントを管理しているわけではないので、何でも自動化するというわけではないですが、定型業務はなるべく簡素化するように心掛けています。一方で、他社がどういうレポートや帳票を出しているのかは分からないので、どうすればもっと良くなるのか知りたいと思うことはあります。


なるほど。一人で担当することの悩みなどはありますか?

リスティング広告に共通する悩みなのかもしれませんが、何が正解なのか分からないのが悩みです。あるアカウントで行った施策がうまくいったからといって、別のアカウントに同じように適用してもうまくいくとは限りません。自分の中の引き出しを増やしながら、柔軟に発想していくことが求められる仕事だからこその悩みだと思います。

あとは、やはり一人なので相談する相手がいないことですね。誰かと意見交換をしながらアイデアが出てくるということってよくあると思うのですが、一人だとそうはいきません。社外の方と話すこともたまにありますが、詳細はもちろん話すわけにはいかないので、どうしても一般論になってしまいがちです。

ペアプログラミングじゃないですが、リスティングの運用でも作業の過程を一緒に見ながら進められたりしたらいいなと思ったりすることがあります。


逆に、一人だからこその良い点などは?

すべてのリスティングのお客さまは自分が担当しているので、自分のやった施策がすぐに結果として表れるので面白いです。どこを改善したらどうなったというナレッジがたまりますし、お客さまからもダイレクトにフィードバックをもらえます。

あとは、逆説的ですが、担当できるお仕事の数が限られていて、情報やツールも限られているからこそ、自分で考えるクセがついたことでしょうか。一人でやっている以上、すべては自分の責任ですし、誰かに言われたからやるのではなく、自分で考えて実行していかないと前に進めません。

リスティング広告の業務を通じて、自ら考えるということの重要さを学ばせてもらっていると思います。



制作会社ならではの強みを出していきたい。


ウェブ制作とリスティングの連携などはありますか?

お客さまの状況によりますが、ランディングページをセットでご提案することができますし、ディスプレイネットワークのバナー制作も社内で連携できます。

あるお客さまでは、他社で運用していてほとんどコンバージョンが上げられておらずLIGにご相談いただいたのですが、移行時に細かいアカウント構成への変更とウェブのリニューアルを同時に行うことによって、問い合わせが急増したという事例があります。

制作を任せていただければちょっとした変更はスピーディにできますし、広告と連携してABテストなどを行うこともできます。運用と制作が近いのはウェブ制作会社ならではの強みだと思っています。


広告運用にメディア運営のノウハウが生きることはありますか?

現在はLIGのブログのバナー広告の管理も担当していまして、頻繁にアナリティクスのウェブテストで出し分けをして効果の確認をしているのですが、着地ページとバナーの表現を合わせたり、LIGのメンバーをクリエイティブに使うとクリック率が高いといったことが分かっています。まあLIGのメンバーを使うというのは社内限定的なナレッジですが(笑)。

LIGではおもしろ記事でもまじめな記事でも、厳しくチェックが入りますので、表現については常に注意を払っています。広告文やバナーなどでもそれは同じですし、お客さまの広告運用を預かっているので、間接的かもしれませんが、メディア運営が広告運用とつながっているなと思います。



ヨコの繋がりを増やしていきたい。


「今後こうしてきたい」といった目標などがあれば教えて下さい。

企業内で一人でリスティング広告を運用している人は多いと思いますので、そういう方たちとヨコの繋がりを作っていきたいですね。一人だと悶々と考えてしまうので、勉強会などを通じていろいろな方々と交流を持っていきたいと思います。


同じように少人数でリスティング担当として現場で頑張っている方々に一言ありましたらお願いします。

一人でリスティングの仕事をしていると、社内でも自分の仕事が理解されていなかったり、結果が出なくて苦しいときに相談相手がいなくて孤独を感じたりすると聞いています。私自身もそういう時期がありました。

でも、施策が結果に繋がるサイクルが早い仕事ですから、一度いいフィードバックを得られればよい方向に動くようになりますし、結果は自信につながります。お互いあきらめずに頑張っていきましょう!


本日は貴重なお話、ありがとうございました!


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AdMarkeTech.(アドマーケテック): 一人だからこそ、自分で考えなければ進めない − 株式会社LIG 小林享平氏 #State-of-AdOps Vol.9
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