伸び続けるモバイル市場
約1年半前(2011年10月)に、「モバイルの今が痛いほどわかるインフォグラフィック」 という記事で、モバイル市場の強烈な伸びを表したインフォグラフィックを紹介しました。
当時のデータの多くは2010年のもので、その時分でも "2010年のモバイル:PCの比率は 28:72 だったのが、2015年には 52:48 と、シェアが逆転" という、以下のグラフのようなモバイルの急激な伸長が報告されていましたが、それ以降、現実は予測を上回るように急ピッチで変化を続けています。2013年になって、徐々に2012年のデータが各所から報告されるようになってきました。アクセス解析で有名な KISSmetrics のブログで、モバイルの現状を表したインフォグラフィックの最新版が紹介されていましたので、データソースは上述のポストとは違いますが、この2年間(2011年から2012年)で起こっている具体的な変化を見ていきたいと思います。
モバイルがビジネスをどう変えているのか
リンク:
How Mobile is Changing Business - Infographic
(モバイルがどのようにビジネスを変えているのか)
Source: How Mobile is Changing Business – Infographic
早まるスピードと、縮まった猶予期間
このインフォグラフィックを見て、まず驚くのはモバイルの浸透スピードです。2010年の時点では、2015年にはモバイルとPCのシェアが逆転すると予測されていましたが、2012年の予測では、2013年(つまり今年!)にはモバイルがPCを上回るという予測になっています。この2年間でモバイル市場は急激に加速し、モバイル対応のための猶予期間はグッと縮まっています。
モバイルからの購入がスタンダードへ
モバイルコマースも急激に伸びています。インフォグラフィック内のデータはいずれもブラックフライデー(感謝祭翌日の金曜日で、クリスマスセールが始まる日)のものですが、モバイル経由の購入額が2011年対比で40%増加、PayPalのブラックフライデーでのモバイル決済が190%増などのグラフに続いて、モバイル経由で購入した人数が2011年対比で166%増という驚異的な数値が示されています。モバイル対応しているEコマースでも、実感値として近いのではないでしょうか。ウェブサイトのモバイル対応や決済手段の整備が進み、ユーザー側でもショールーミングなどの購買パターンが浸透するなど、モバイルがショッピングの中で自然と存在感を増していることが見て取れます。
モバイルでは我慢強く、分かりやすく
ユーザーの傾向についてもデータが出ています。PCではロード時間に平均3秒しか待てないせっかちなユーザーも、モバイルだと平均5秒待つとのこと。ページの読み込み時間の短縮が売上に直結することはほぼ常識ですが、通信の状況が変わりやすいモバイルでは、ユーザーもPCに比べて我慢強くなる傾向にあるようです。一般的にはPCより通信速度が遅くなりがちなモバイルにおいて、いかにサイトをモバイルに最適化しておくかがポイントになりそうです。また、モバイルは地域に関連したクエリが多いことも知られていますが、広告に地域に紐づく情報(都市名など)を入れることでCTRが200%増加するという調査結果が出ています。常に持ち歩くデバイスだけに、地域ターゲティングする広告にはその地域を明示/訴求する広告文にしたり、地域を表すクエリと広告を連動させるなどの地道な努力が実を結びやすいといえるでしょう。店舗型ビジネスを筆頭に、旅行や不動産、サービス業全般では必ず考慮したい部分です。
マルチスクリーンを考慮したプランニングを
多くの人がショッピングに複数のデバイスを活用するようになってくると、モバイルの存在を無視してキャンペーン設計することは今後は困難であると考えた方が自然だと思います。モバイルのデータを見るときに気をつけなければならないのは、「モバイルユーザー」というユーザーだけが厳然と存在しているのではなく、ユーザーの生活様式の中にモバイルやタブレットなど複数のデバイスが浸透してきたということを理解することではないでしょうか。先日発表された AdWords の Enhanced Campaigns も、こういったユーザーの変化に合わせたプラットフォームへ進化していくというGoogle の方向性を表しています。世界で最も大きな広告のプラットフォームが舵を切ったことで、ユーザー側の変化に対して企業の対応速度が以前より速くなると思います。
次にこういったモバイルのインフォグラフィックを紹介するときは、きっと今よりさらに大きな変化が起こっていると考えると、そら恐ろしい感じもしますし、楽しみでもあります。
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