インハウスSEO実践者のインタビュー


先日(2012年9月22日)に開催されたCSS Nite LP, Disk 24「インハウスSEO」はとても大盛況だったそうです。自社内でSEOを行うインハウスSEOは、その手法から組織論に至るまで、ウェブ担当者の間で語られる息の長いホットトピックのひとつだと思います。


そして、その議論は洋の東西を問わず、海外においても頻繁に語られます。
ただ、クローズドフォーラムやオフラインではよく語られるインハウスSEOの生の声も、そのナマナマしさゆえか、なかなか記事化されないのが現実です。

そんな折、CSS Nite と平仄を合わせるかのように(?)、インハウスSEOの担当者のインタビュー記事が Search Engine Watch に載っていました。短いインタビューですが、2012年9月現在のSEO実務担当者の生の声ですので、抄訳してみたいと思います。



In-House SEO Interview: The Hidden Heroes of Search - Search Engine Watch (#SEW)
(インハウスSEOのインタビュー:検索の隠れたヒーローたち)

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シモン ヘーゼルタイン(SH):AOL 検索エンジン最適化担当ディレクター
ロビン アギラル フランシス(RAF):Autodesk 検索&ソーシャル シニアマネージャー
ジョン コール(JC):NFL 検索マーケティング担当 ディレクター


SH: マーケティング、特にインハウスとしてのキャリアはどれくらいですか?そして、 代理店側ではなく事業会社側で仕事をする魅力は何でしょうか?

JC: 90年代の終わり頃、副業としてウェブサイトの制作を請け負っていたときに、SEMに取り組み始めたんです。2007年まではフルタイムでSEMをやってたわけではないのですが。私は始め代理店で働いていましたが、事業会社側で仕事を始めてからは代理店には戻っていません。インハウスで働くことは、代理店では得られない以下の2つの機会を与えてくれます。

1. プロジェクトの優先順位付けと、実装までを管理する能力。自分の提案の採用や実施可否をクライアントに委ねる代わりに、自社のプロダクトマネージャーやエンジニア、経営陣にプロジェクトを実行する意味を説得することができます。

2. 業務にフォーカスして、深く潜っていく能力。私自身、各業務の収益モデルについて深く考え、何がビジネスの収益化に貢献するかを考えながらSEOを行う分野の優先順位付けをするのが好きです。インハウスで仕事をすることは、代理店時代と比べ、ビジネスについて深く学ぶことができています。

RAF: 私は6年間ずっとインハウスです。SEOは、クーポンサイトでのライティングの仕事を通じて始めました。ライティングの基礎を覚え、ライティングの仕事に手応えを感じることができるようになり、この分野で新たな仕事はないかなと探していたときに、SEOと呼ばれるものがあると教えてもらいました。

SH: SEMを成功させるためには最も重要なことは何でしょうか?

RAF:関係者全員に一から十まで手取り足取り教えることです…とは言えませんが、大事なのは、"なぜこれが重要事項なのか" 、"解決するにはどうすればいいか" を知ることです。私は、一旦仕事を頭からぜんぶ引き受けることが大事だと思っています。経験上、SEOは組織の垣根を超えて協力することが必須ですから。

JC: 大きな違いを生み出すような仕事にフォーカスすることです。私はデータ好きが嵩じて自社のSEMを仕切るようになりましたが、一方で、データマイニングは途方もなく時間を使います。私は普段から、"今いろんな角度から分析しているこのデータは、今最も取り組むべき最優先のデータなのだろうか?" "我々の利益を増やせるような実践的な発見を得られるのだろうか?" と自らに問うようにしています。

SH: 例えばの話ですが、あなたの上司が突然呼び出してきて昇進を告げたとします。昇進後のあなたの最初の仕事はあなたの替わりの担当者を採用することです。どんなスキルや経験のある人を探しますか?

RAF: その例え話、まさに私に今年起こったことです。私が引き継ぐ担当者に求めた能力は、検索とユーザー理解のバランスが取れていることでした。さらに言えば、社内の関係者にコンテンツ制作・リンク、技術的な実装について教えられることだと思っていました。なぜかというと、検索とウェブ編集が私の業務範囲でしたから、新しい人にもSEOを正しく行なってもらうために、スタイルガイドを理解し、​​ブランドのトーンをしっかり把握して全体を見据えた編集をしてもらう必要があったからです。

JC: 私は細部にこだわる人、大量のデータもサクサク処理するような人、好奇心と懐疑心のバランスがいい人を探しますね。完璧主義ではない、オープンマインドな人がいいです。経験上、自分が知っていることにこだわるのではなく、フレキシブルに、時にはゲームのルールそのものを変えてしまうことでうまくいくこともありますからね。あとはそうですね…人のことが好きで、いいエネルギーを持っている人でしょうか。この仕事は、他の人のトレーナーになったり、他部署と信頼関係を構築することも大事ですから。

SH: 新しい担当者に業務のコツを伝えるとしたら何でしょう?

JC: 売上を増やしたり、コストを削減したり、自社の顧客に価値を生み出すようなSEOにフォーカスしなさいと伝えます。もし取り組むプロジェクトがそういった類のものではないときは、やらない方がマシです。

RAF: 大胆に、自分の土俵で勝負して下さい。あと、データは常にあなたの見方です。データと友達になってください。

SH: 「これがないと何もできない!」というようなツールはありますか?

RAF: 他のツールはさておき、Google がないと何もできません。例えばキーワードデータやキーワードツールがなくなっても、実際の検索結果を見ればアルゴリズムがユーザーをどう理解しているのか分かりますので。

JC: Google のキーワードツールですね。次に、Open Site Explorer でしょうか。

SH: 次の半年から1年の間に業界に大きな変化が起こるでしょうか?もしくは変化は既に起こっていて、我々は知らずに取り扱っていたりするのでしょうか?

RAF: Google がソーシャルとは何たるかを理解するでしょう。何らかのサービスや仕組みを買収するか、Google+が本気を出すと思います。Google はよりよい結果をユーザーに提供するために、ソーシャルの”欲求”データが必要です。私はキーワードというものが、どこかの時点で完全に意味のないものになると思っています。




関連ポスト:インハウスSEOの担当者はどの部署に所属するべきか?

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