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その時代において雇用を多く生み出している産業が時代の基幹産業だとすると、デジタル産業・ネットビジネスはすでにその役割を担い出しているのかもしれません。


インターネット生態系の経済価値調査:


ハーバードビジネススクールがIABの委託によって行なった調査“Economic Value of the Advertising-Supported Internet Ecosystem” によると、景気後退が続くアメリカの過去4年間において、インターネット産業は直接的・間接的合わせて510万人の雇用を生み出し、5,300億ドルの経済貢献があったとのこと。なお、この調査は2009年に発表された同調査の最新版になります。雇用がクローズアップされると、大統領選の時期なんだなあと思いますね。


Ad-Supported Internet Responsible for 5.1 Million U.S. Jobs, Contributes $530 Billion to U.S. Economy in 2011 Alone, According to IAB Study


この調査書はIABのサイトから無料でダウンロードできます。84ページにわたるこのレポートは、インターネットのエコシステムを形成する各分野のプレイヤーを4階層−12種類に分解し、それぞれ詳細に調査した重厚な内容になっています。





レポートの内容は長いので各章の詳細には触れませんが、IABの調査分析担当副社長のシェリル・メインのコメントがこのレポートのサマリーとして適切かもしれません。

"I was pleasantly surprised by how much we grew, and by the number of jobs that rely on this marvelous interactive ecosystem that has sprung up. It means we are an engine for the overall economy - not just certain kinds of jobs. "

インターネット産業の成長によって多くの仕事がこの素晴らしいエコシステムによって生まれていたことが判明したのは嬉しい驚きでした。この事実は、インターネット産業が自身の産業のみならず、経済全体を牽引するものだという証左でもあると思います。

マディソン街を擁するニューヨーク州、シリコンバレーを擁するカリフォルニア州に本社を置くような大きな会社が多くの雇用を生み出す一方で、インターネットのエコシステムが、多くの個人事業主やスモールビジネス、スタートアップを支えていることも明らかになっています。

それは例えば Amazon、eBay、Etsy のようなプラットフォーム上でビジネスを行う個人であり、一方で、ウェブデザイナー、作家、プログラマー、コンサルタントなどの個人事業主でした。eコマースのプラットフォームだけでなく、Craigslistのようなクラシファイド、YouTubeのような動画プラットフォーム、Kickstarterのような少額融資のプラットフォーム、Squareのような簡易決済をはじめとして、人々を繋げるソーシャルネットワークやマッチングサービス、検索エンジンなどが大きなエコシステムを形成し、多くの雇用を生み出していると言えるでしょう。


ネットメディアの雇用も加熱中:


かつての雇用を支えていたメディアといえば、テレビ、新聞、雑誌、ラジオなどでしたが、昨今ではインターネットメディアがメディア雇用の主役であるという調査も出ています。


Internet-Media Employment Fuels Digital Job Growth | Media - Advertising Age


AdAge の調査機関である AdAge DataCenter によると、ネットメディアはメディアビジネスの中で二番目に大きい雇用を擁する分野になったとのこと。アメリカのメディア産業では、6人に1人の割合でネットメディアの従事者になるようです。2012年には既にテレビの雇用を超えているとも言われています。

雇用の推移を表したインフォグラフィックがこちら。



右肩上がりの業界は機会の総数が多い:


どんな調査を読んでも、大抵ネット業界は右肩上がりと言われています。(広告費は指標の一部でしかありませんが)ZenithOptimedia の最新の調査においても、インターネットの伸びは他の分野を圧倒しています。

ZenithOptimedia releases September 2012 advertising expenditure forecasts | Zenith Optimedia



もちろん、右肩上がりであっても伸びない会社もあれば、沈んでなくなってしまう会社も多くあります。ただ、右肩上がりのいいところは、仮にうまくいかなかったとしても、市場全体が伸びている(そして変化している)ので、再起や再挑戦の道がそうでない業界よりも多いということです。今現在強烈に人材採用を進めている企業の多くが、10年前は存在すらしていなかったか、まだスタートアップの段階でした。

機会は人をつくります。以前は、”他業界の優秀な人材がネット業界に転職してくるようにならないと” ということが言われていましたが、10年も経てば、機会と挑戦の総数は、時間の密度を変えます。10年前は学生だったり新人だった人が、今は業界を牽引する企業の経営陣だったりすることは普通です。

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