iPad2やSony Tablet など新しい製品がどんどんリリースされ、今年はタブレット端末飛躍の年と呼べる勢いを示しています。世界的にみても、先日IDCが発表したように、2011年の第2四半期(4月−6月)のタブレット型PCの出荷台数は1,360万台に達し、前年の同じ時期に比べ4倍に増えたとのこと。それに合わせるかのようにタブレット端末やスマートフォン経由でのトラフィックが北米全体の7%近くまで達したというcomScoreの報告も出ており、その成長率は注目に値します。
そんな劇的な成長を遂げているタブレット端末なので、広告主や広告代理店では「タブレット端末ってどうなの?」「で、何すればいいの?」という議論が日本だけでなく世界中で活発に行われているようです。
PublicisグループのデジタルエージェンシーであるDigitasのVPであるRyan Griffin は、「Where Does The Tablet Fit In The Marketer’s Media Plan?」という記事の中で「"Where should the tablet fit as part of a marketer's media plan?"(タブレットはメディアプランのどこにハマる?)」という質問に対して、以下のように言っています。
”Many marketers tend to think of Tablets as machines that simply further power today’s increasingly pervasive 'Culture of Mobility' for consumers – and in turn equip brands with a platform for convenience, utility, and entertainment ubiquity.”
”From a planner’s perspective, the Tablet marks a unique intersection of data (context, addressability, and location), portability, and highly engaged media consumption – with scale very much on the horizon. If you are a retailer or financial services company, stake out a dedicated presence, and start measuring engagement and efficacy through this new lens. If you are a CPG company, understand how consumers are spending their time on Tablets, and deliver value (entertainment, coupons, or offers) in those environments.”
”多くのマーケターがタブレットを、広く浸透した ”持ち歩きの文化” を一層加速させ、便利で、使い勝手がよくて、どこでも楽しめるプラットフォームとだというブランドを確立しはじめた端末だと感じている。”
”プランナーからすれば、タブレットは文脈やターゲティング、ジオなどのデータのユニークな接点であり、持ち運びされ、メディアと相性もよく、これから更なる広がりを見せる兆しもある端末だと感じるだろう。もし小売や金融系のサービスに勤めるプランナーなら、とにかくタブレットは押していかなければならないし、タブレットでのエンゲージメントや効率を測りはじめるべきだろう。消費財メーカーだったら生活者がどれくらいの時間をタブレットに費やしているのか理解すべきだし、クーポンなどの価値をタブレットを通じて届けなければいけない。”
とはいえ、タブレットの規模感的にどの程度全体のプランニングに盛り込むのかはまだ微妙なところだと思うので、何かしらの指針なりヒントなりがほしいなと思って何かないかと探してみたら、ありました。
IABがつい先日発表した
「Tablet Buyer’s Guide: Practical Advice for Advertising on Tablets
(タブレットバイヤーズガイド: タブレット端末に広告を出すための実践的なアドバイス)」
という資料です。
製品のラインナップが揃いはじめ、ユーザーが増えはじめてて選択肢が広がると、エンドユーザーが購買の参考にするのがいわゆるバーヤーズガイド(お買い物カタログ)ですが、このガイドはタブレット端末の購入についてのガイドではなく、インターネットを飯の種にしている人たちのための、タブレット端末に出すための広告やキャンペーンプランニングのガイドになっています。
リンク:
Tablet Buyer’s Guide: Practical Advice for Advertising on Tablets (PDF) ※PDFです
資料の構成は以下のようになっています。
Introduction: Tablet Advertising Opportunity(タブレット広告の機会) Starting Points for Tablet Advertising(タブレット広告を始める際のポイント) Tablet Advice(タブレットアドバイス)
- Planning(プランニング)
- Design(デザイン)
- Execution(制作・実行)
- Measurement(測定)
Relationships with Other Media(他のメディアとの関係)
内容の一部を紹介しますと、
まず最初の「Introduction: Tablet Advertising Opportunity(タブレット広告の機会)」では、タブレット端末のユーザー層の伸びや、タブレットの定義、各プレイヤーの状況など、市場動向について詳細に記載されています。
次に、「Starting Points for Tablet Advertising(タブレット広告を始める際のポイント)」では、タブレット広告を大きく「アプリ内広告」と「ブラウザへの広告」に分け、それぞれ以下のようにタイプを分けています。
<<In-app ads(アプリ内広告)>>
アプリ内広告には、大きく分けて次の5つのタイプに大別されるそうです。
・スポンサーシップ
シェアオブボイスを狙った広告で、時に記事広告のようなものだったり、アプリ自体がブランド用のもの
・フルスクリーン
フルスクリーン、もしくはインタースティシャル(ロード時間に出る広告)で、雑誌型のアプリによくあるもの。静的、もしくはビデオやアニメーション、スライドショーなど、形式は多数。
・スタンダード
アプリ内に現れる、いわゆる普通の広告。レクタングルかリーダーボードの形を取ることが多く、アプリのデザインに合わせて掲出されるもの。
・カスタマイズ
特定のアプリに向けてカスタマイズされた広告。
・ビデオ
動画に特化したアプリによく見られる方式で、その名のとおりビデオ型の広告が、プリロールやポストロールで表示されるのが一般的。
<<Tablet web ads(タブレットブラウザへの広告)>>
上述したアプリ内広告のタイプに併せて、以下のことに気をつけるとよいと書いてあります。
- タブレット用サイトでは時折通常の広告サイズのほかに、カスタマイズされたサイズもある。
- リッチな広告を作る際にはFlashはAppleのデバイスでは動かないことを念頭に入れる。
続いて「Tablet Advice(タブレットアドバイス)」の章では、タブレット広告をそれぞれ、「Planning(プランニング)」、「Design(デザイン)」、「Execution(制作・実行)」、「Measurement(測定)」とフェーズを分け、それぞれ項目別にアドバイスしています。結構詳細なので、ぜひご自身でご覧ください。特に広告のサイズの注意点や、「タッチするの前提で作れ」などのアドバイスは参考になると思います。アドネットワークとか、その辺にはあまり触れられてないのが残念といえば残念でしょうか。
IAB自身も本資料の最後で、
”The IAB’s Mobile Marketing Center of Excellence is looking forward to exploring how consumers make tablets a part of their lives and to helping the industry grow faster through education, case studies, best practices and, as the market matures, standards around measurement, creative and operations.”と結んであるとおり、引き続きの事例を含めた情報提供を匂わせていますし、タブレットが伸びるといいねとポジティブな感じで結んでいます。
タブレットへの広告配信については今後も情報が出てくると思いますので、このブログでも継続的にウォッチしていければと思います。タッチポイントがたくさんあって、プランニングする側は大変ですが、うまく吸収していきたいですね!
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