最近しばしば耳にするようになった「データマネジメントプラットフォーム(DMP)」とは一体なんなのか?
今年(2011年)の夏に米Forrester Research社が出したレポート「The DMP Is The Audience Intelligence Engine For Interactive Marketers. (「データマネジメントプラットフォームは、ウェブ担当者にとって顧客を理解するためのエンジンだ」)」で、データマネジメントプラットフォームとは以下のように定義されています。
# ちなみにこのレポートはオンラインで$499 するので、ちょっと高いです。。。僕も読んでません。
“… a unified technology platform that intakes disparate first-, second-, and third-party data sets, provides normalization and segmentation on that data, and allows a user to push the resulting segmentation into live interactive channel environments.”
"(データマネジメントプラットフォームとは)自社や外部などの様々なデータを抱合し、分割・正規化し、それらをすべてのチャネルに入力する技術プラットフォームである。"
この定義に疑問の余地はありませんが、一方で、日本に比べて進んでいると言われている北米においても、ほとんどのデータマネジメントプラットフォーム事業者が、このForrester社の定義に沿ったサービスを提供できているとは言えないようです。
同事業を展開する Aggregate Knowledge社のCEO、David Jakubowski氏は” Defining ‘Data Management Platform ”という記事の中で、「データプラットフォーム事業社のサービスレベルは正直言って各社でまちまちなので、企業がどの事業者と提携してDMPに踏み込むのかを含め、まだまだチャレンジが多い」と語っています。
ディスプレイ広告に限らず、あらゆるマーケティングチャネルは複雑化し、競争と変化は日増しに激しくなっているので、リサーチデータやリアルタイムで入ってくるオーディエンスデータのような第三者からのソースだけを意思決定の根拠にするのではなく、それらをしっかりカテゴライズし、自社データと統合して最適化、時に自動化する必要があるということですね。
おそらく、これからの課題は、それぞれ違うデータの構造を持つ第三者からのデータと自社データをどのように整合性をつけて統合し、それらを自動的に更新し活かしていくシステムを構築するか、データ間のギャップをどうやって効率的に埋めて顧客属性やターゲティングの精度を担保していくかということなのだと思います。それはそのまま、マーケティングを行う事業会社と、データプラットフォームを提供する事業者が、共通で解決すべき経営課題になるのではないかと思います。
Eコマースだけを見ても、
・Google ショッピングや比較サイトへのフィード
・アフィリエイトエンジンへのデータ提供
・アマゾンなどのマーケットプレイスへのデータフィード
・検索連動型広告とのAPI接続をした在庫連動入札や動的な広告文の変更
・リターゲティングに代表されるオーディエンスターゲット広告の活用
・顧客管理やメールマガジンなどのCRM機能との連動
など、思いつくだけでもデータの統合管理と活用のシーンはたくさんあります。
プライバシーの管理や企業の各部門間の連携など、解決するべき課題が多いのも事実ですが、分散しているデータをまとめて資産として活用する企業と、日々の生産活動の澱として放置してしまう企業との間には、これから取り戻せないほどの差が出てくるのではないでしょうか。
北米ではすでに「Council for Accountable Advertising」というアドテクまわりの標準規格を作ったり相互運用の確立を普及することを目的とした業界団体ができていますし、日本でも、オプト社のADPLANワンタグなど、データマネジメントプラットフォームに向けての先鞭となりうるような取り組みは少しずつですが始まっています。
データがすべてとは言いませんが、扱うデータ構造をどのように設計し、いかに連携させるためのシステムを構築するかが、どの業界においてもカギになると思います。大変な時代ですが、マーケティングを生業にする人たちにとっては面白い時代の到来でもありますね!
※この記事は2011年10月に書かれたものです。
(2012年11月更新)こちらもご覧ください:
DMP(データマネジメントプラットフォーム)を徹底解説した、IABの白書をまとめてみる
コメント